入れ歯(義歯)
一度失ってしまった歯は、残念ながら戻ってきません。歯が抜けたままにしておくと、見た目が悪いことや食べにくくなるといった直接的な影響もありますが、もっとよくないのは残りの歯に負担をかけたり、周りの歯が傾いたりして、噛み合わせが徐々に狂い始めたりすること。お口全体の健康はもちろん、表情、さらには全身の健康をも損なってしまいます。
そこで大切になるのが、それぞれの人に合わせた入れ歯です。
入れ歯は、一部失われた場合に作るのが部分入れ歯(局部床義歯)、全部失われた場合に作るのが総入れ歯(総義歯)と、大まかに分類できます。

保険適応の入れ歯
「レジン床義歯」
保険を使って総入れ歯を作製する場合、義歯床が「レジン」と呼ばれる合成樹脂(プラスチック)のものになります。メンテナンスが行いやすいのですが、においや汚れが吸着しやすかったり、厚みがあろため違和感を感じることがあります。噛む力も弱くなります。
部分入れ歯は支えるために、「クラスプ」という金属のバネを歯に引っ掛ける必要があります。見た目がよくありませんが、保険適用の部分入れ歯の場合はこのタイプしかありません。
また、噛む力は本来の歯に比べて20~30%程度になります。
メリット
- 保険が適用されるため安価
- 加工や調整、修理がしやすい
デメリット
- においや汚れが吸着しやすい
- 装着時に違和感があったり、食べ物の温度がわかりづらくなる場合も
- 噛む力が弱くなる
保険不適応の入れ歯
①「金属床(チタン床・コバルトクロム床)義歯」
義歯床に金属を使用している入れ歯です。保険適応の入れ歯に比べて薄くつくることができ、汚れもつきにくく清潔を保ちやすくなっています。
また、歪むことが少ないので残っている歯にも優しいといわれています。
金属床には金合金、コバルトクロム、チタン、白金加金などの金属が使われますが、当医院では金属アレルギーの影響が少ないといわれているチタン床をおすすめしております。
メリット
- 装着時の違和感が少ない
- 食べ物の温度が伝わりやすい
- 汚れがつきにくい
- 割れにくく変形もしにくい
デメリット
- 保険が適用されないので高価
- 破損したときの修理がむずかしい
- 金属の種類によっては金属アレルギーを起こす場合も(当医院では金属アレルギーの影響が少ないといわれているチタン床をおすすめしています)
②ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは金属バネを使わない入れ歯です。口腔内でも保険適用の入れ歯と比べて金属バネが見えないので審美的です。
また、義歯床の厚さをかなり薄くできるので、違和感が少なくなります。従来の入れ歯と比べ、2分の1の重さです。






メリット
- クラスプが目立ちにくい
- 丈夫で柔軟性があり、薄く作れる
- 従来の入れ歯と比べ2分の1の重さ
デメリット
- 保険が適用されないので高価
- 残っている歯の状態によっては使用できない場合も
- 使用する素材によっては修理が困難なこともあります
入れ歯を選ぶときは医師としっかり相談を
入れ歯を作る場合、保険が適用されるかどうかによって、種類や費用が大きく変わります。入れ歯を選ぶ際は、まずは歯科医師に自分の口の中の状態をよく診てもらい、どのような入れ歯がよいかなどをよく相談しながら決めていくことが大切です。
また、入れ歯を装着してからも入れ歯が合わなかったり、痛みを感じたりするなどの不都合があったら、歯科医師に相談することも大事。そして、定期的なメンテナンスや検診を心がけましょう。
長く入れ歯を使っていくうえで毎日の入れ歯のお手入れもポイントです。研磨剤などが入った一般的な歯磨き粉は入れ歯を傷つけることがあるため、入れ歯専用のものを使うなど、入れ歯に合った手入れ方法をしっかりとマスターしましょう。